ミソフォニアとは?気になる原因や治療・診断・対策について

他人の咀嚼音や貧乏ゆすりなど他人の生活音に無性に腹が立ってしまうことってありませんか?
どんどんその音への耐性が減り、イライラ度が増してきている…そんな場合はミソフォニア(音嫌悪症)かもしれません。

目次

ミソフォニアとは?

ミソフォニアとは、音の大小関係なく(別段大きい音や頭に直接響くような音でなくとも)日常の中である特定の他人の出す生活音に特別な嫌悪感・精神的苦痛を抱いてしまう症状のこと。

トリガーになるきっかけがあり、どんどんその音に対して過敏になり音を聞くと否定的な感情(嫌悪、怒り、憎しみ、逃避反応)が出てしまいます。時間の経過とともに音だけでなく視覚的なトリガーにも反応を引き起こす場合があります。

ミソフォニアはストレスに起因していることもあり現代病ともいわれており、増加傾向にあります。ストレスを感じている時ほど音に対して過敏になりやすく、重度になるとミソフォニアとして症状が現れます。
ストレスを抱えるとうつや睡眠障害などが挙げられますが一時的にミソフォニアとして症状が出る場合もあるといわれています。

豆知識

ミソフォニアという言葉をよく使われますが、和名では「音嫌悪症」とも呼ばれております。ミソフォニア(misophonia)という英単語も、古典ギリシャ語の接頭語 miso- “嫌悪、憎しみ” と phonia “音”を組み合わせた単語となっています。また、研究者によっては選択的音感受性症候群(selective sound sensitivity syndrome)と呼ぶこともあります。
耳は正常な聴覚なため不安神経症や双極性障害と誤診されるケースがあります。

ミソフォニアと思われる音の種類

ミソフォニアで定義される音で最も多いのは咀嚼音などをはじめとするASMRです。

また、メトロノームやキーボードの鍵打音、シャーペン・ボールペンの芯を動かす際の繰り返されるカチカチ音、冷蔵庫等が発生させ続ける電子音、特定の靴が発生させる歩行音等を苦手としている人が多いようです。

人が出す音

  • ペチャクチャ音(咀嚼)
  • 咳払い
  • 鼻すすりやくしゃみ
  • 女性や子供の叫び声(高音)
  • 赤ちゃんの泣き声
  • 呼吸音
  • ハミング(鼻歌)
  • 舐める音や吸う音など口から発する音
    etc…

人の行動によってでる音・モノからでる音

  • ペンのカチカチ音
  • タイピング音
  • マウスのクリック音
  • 食器が当たったり擦れる音
  • 時計の秒針
  • 爪切り
    etc…

聴覚過敏とミソフォニアの違いは「音・感情・原因」

聴覚過敏との違いは、ミソフォニアは大半が後天的なものであることが第1にあります。

他大きな違いとしては、影響を受けた際の反応で、過敏症は単純に脳や神経が敏感になって受信しやすくなり、情報量が増えて疲れや混乱、集中力の低下等が起きやすくなるのに対し、ミソフォニアの場合は感情が下向きになってしまうことが多いという点です。

聴覚過敏とミソフォニアの違いは、苦手な音の種類音からくる感情そして発症する原因です。この3つおさえると理解しやすいと思います。詳しくは「ミソフォニアと聴覚過敏の違いとは?」でご紹介しています。

※聴覚過敏を発症している方が、ミソフォニアを併発するということもあります

聴覚過敏・ミソフォニアの共通点と違い

iroiro作成 2020年11月のWINKコンテストで発表した資料より

ミソフォニアになる原因とは?

ミソフォニアは外部的要因と心理的状況により後天的に発症。その多くは6~13歳までに体験した事象によるものであるとされています。

例えば思春期に入り、家庭内で特定の人物との関係が悪化した場合、その人物と同じ空間にいることに嫌悪感を抱き、その人物が発生させる音が嫌いになったり、苛立ちを覚えるようになっていきます。これがトリガーとなってミソフォニアを発症するというケースが最も多く報告されています。

その他、何か物事を上手く出来ずに強く叱責を受けた際、例えば皿洗いの手伝い時に皿を割ってしまい、強く叱られる等すると、そのことがトラウマとなり、トラウマの原因となったモノが出す音、食器同士がこすれる際に出る音等に対して恐怖感や、切迫感を覚え、気持ちが落ち込んでいく機会が増え、ミソフォニアを発症するというケースも多いようです。

トリガーになるきっかけがあり、どんどんその音に対して過敏になり音を聞くと否定的な感情(嫌悪、怒り、憎しみ、逃避反応)がどんどん強くなってきます。症状が強く出てしまう場合は、耳栓・イヤホン・イヤーマフなどの防音アイテムを活用し生活される方もいます。

ミソフォニアの診断や治療は?

診断方法はまだ確立されていないがセルフチェックを行う

ミソフォニア研究は聴覚過敏より更に歴史が浅く、病名自体が21世紀に入ってからついたものになります。

医療的診断方法が定まっていないこともあり、医師にミソフォニアについて伝えても症状名がわかる先生は少ないのが現状です。セルフチェックシートをiroiroでは掲載しているためこちらを参考にお使いください。

現在投薬等による治療法や完治のためのプロセスは解明されておらず、対処両方的に認知行動療法が取られています。

後天的に発症しているものなので、人によってはほぼ完治に近いところまで良くなるという研究報告も上がっていますが、ミソフォニアでは幼少期に受けたトラウマが影響しているため、音に対する慣れや自己受容等、当事者が過去の自分に対して深く向き合えることが前提となっています。

本記事は2018年〜2022年に調べた内容を元に作成しております。随時新たな情報をキャッチアップした際に更新をかけていきます。ご不明点などあればお問い合わせいただけますと幸いです。

【参考記事や文献】
URL:https://misophonia-association.org
URL:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9F%E3%82%BD%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%8B%E3%82%A2
URL:https://forbesjapan.com/articles/detail/37292/3/1/1
URL:https://martinandmoa.hatenablog.com/

この記事を書いた人

聴覚過敏とミソフォニアをもつ妹をきっかけに「ear wear」を制作しています。実体験の記事やセルフチェックシートなどお役立ち資料も掲載しています。

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